1ヶ月の実証実験で「30%の省人化」を達成。人が操作するのと同等の効率で、オペレーター3名から2名へ。

導入の背景と効果
- ・掘削・積込工程が単調で、効率化と省人化の余地があった
- ・半年に及ぶ造成工事において、持続可能な体制構築が求められていた
- ・オペレーター不足への対応が課題となっていた
- ・積み込みの自動化として以前から情報を収集していた
- ・6月発見から8月搬入という驚異的なスピード感での導入決定
- ・ARAVの伴走体制と柔軟な提案・開発力
- ・オペレーター3名から2名となり、30%の省人化を達成
- ・人が操作するのと同等の効率を維持しながら自動化を実現
- ・「オートマチック」の考え方で、一部分を確実に任せることで業務を効率化
――本日はよろしくお願いします。まずは1ヶ月間の実証実験、お疲れ様でした。
はい、1ヶ月間ありがとうございました。
――前回は開始直後の1週間目にお話を伺いましたが、今回は無事に事故なく完了したということで、率直な感想や苦労した点など、詳しくお聞かせいただければと思います。改めてですが、今回の工事現場の概要を教えていただけますか?
概要としては、民間宅地工事の造成工事になります。掘削メインの仕事なんですが、ひたすら掘削を繰り返して、出てきた残土をダンプに積み込んで場外に搬出するという工程です。これを半年ぐらい繰り返す現場ですね。
そういった単調な工程の中で、何かいろんなことができないかなと視野に入れていました。
――最初から「この工程ならいける」という感覚はあったのでしょうか?
いや、ないです。ないですね。 積み込みの自動化というカテゴリー自体は、以前からARAVさんの動画を見たり、CSPI(建設・測量生産性向上展)の会場でお話を聞かせてもらったりして情報は持っていました。
ただ、それが現実的にどれぐらいできるかという「果たして」的なところは、正直ゼロでした。僕の頭の中に「こういうことができたらいいな」があって、それに合致するかどうかは実際にやってみないと分からないということで、今回トライさせていただきました。
驚異的なスピード感での導入決定
――実際に機械を見つけてから導入までのスピード感はいかがでしたか?
6月に見つけて、8月の現場に搬入しちゃってるというスピード感ですよね。僕が今まで感じたことのないスピード感でした。
――今回は決定がめちゃくちゃ早かったですよね。
果たして本当に描いたことが現実になるのか、私はヒヤヒヤしながら見ていたところですが、無事に現実化して良かったなと思います。
やはり、そういう縁の下の力持ちとして、DXの技術を使いながら支えてくれているというのは非常に心強いですよね。
また、建機オペレーターの視点でお話しすると、「男社会だから」「女性だから」という言葉はあまり好きではないのですが、男性だけの仕事となると全人口の半分しか働かせられないことになり、非常にもったいない。女性も働けるような会社にしていきたいと個人的に思っていました。結果として入ってくるのであれば、ICT建機のオペレーターとして活躍してもらいたい。これから建設業を目指す方にも、そういった可能性を見てもらえたらいいなと思います。
1ヶ月の実働で「30%の省人化」を達成
――具体的な成果について教えてください。
今回、1ヶ月間という期間限定の中で実働が20日間になります。通常であればオペレーター3人、単純計算で60人工かかるところが、自動化によって2名になることで40人工になりました。
となると、単純に30%という数字が浮くんですよ。この簡単な計算がここで弾き出されます。これが非常に大事で、「30%省人化させてくれる」って良いと思うんですよね。
――なるほど、まさに省人化ですね。作業効率の面ではいかがでしたか?
効率は多分あんまり変わらないと思いますよ。人が乗っているのと同等程度はやっています。 その「あまり変わらない」ということが大事なんです。人が操作するのと同じぐらいの効率が出せているわけですから。
「ルンバ」から学んだ自動化の本質
――自動化(オートメーション)についての考え方で、印象的なエピソードがあるそうですね。
一般的にオートメーションというと、全体を自動化して手がかからないシステムを構築することだと思われがちです。ただ、国土交通省のCクラス工事くらいの規模になると、完全なオートメーションはなかなか難しい。枠があるようなトンネル工事なら可能かもしれませんが、通常の現場では難しいんです。
そこでしっくりくるのが「オートマチック」という言葉です。自動車でいうところのオートマチック車のように、ギアの変速という一部分を、人が介在しなくても自動でやってくれる機能。そこがしっくりくるんじゃないかなと。
余談なんですが、実家に帰ったらロボット掃除機の「ルンバ」が動いていたんです。やっぱり買う時は「オートメーション」を期待して、全部を自動でやってくれると思って導入するわけですよね。でも、母親の使い方は違いました。
――どういう使い方をされていたんですか?
一つの部屋を、ある程度ルンバが動けるぐらい綺麗に片付けてから、ルンバを持って行ってボタンをパチッと押すんですよ。 これ、「オートマチック」ですよね。
これを見て「これだ」と思いました。オートメーション(完全自動化)を目指すと、どうしても不具合が出るんです。人間の都合もあるし、動けない状況もある。でも、一部分を確実に任せることで、その分の手間が浮くわけです。順々に部屋を移動させていけば、効率的に仕事が回っていく。
これがオートメーション化とオートマチックの違いであり、完全自動化がうまくいかない理由はこれだったんだなと、実家ではたと気づきました。
人と機械が「気遣い」合う現場
――その考え方は、今回の現場運用にも活かされていますか?
そうですね。自動の機械に対して「ここに土があるから掘って」と指示するわけですが、やっぱり人が介在して、この機械の最大効率を発生させるにはどうしたらいいかを考えてあげないといけません。
土を提供する人は、この自動の機械が得意な場所に土を置いてあげるという、人としての気遣いが必要です。次の積み込みの工程でも、機械が置いた土が山になりすぎて困る前に掬い取ってあげるなど、周りの人たちの配慮がないとうまく動きません。
逆に言うと、それをしてあげることで常に最大効率が出せるんです。
――実際にオペレーターとして乗ってみて、どうでしたか?
最初は遠くで動きを確認して「これいいよね」と思っていましたが、実際に乗ってみて自動運転をさせてみると、その間にメールが打てるんですよ。 「あいつ手でやってんぜ」みたいに思いながら(笑)。
自動の設定用iPadを固定してポンポンと操作して、乗ったまま自動運転というのはありかもしれません。絶対に楽ですし、労働生産性向上になります。その間に別の仕事ができるわけですから、人は減らなくてもやれることが増える。「油圧ショベルの室内が結果的に事務所になる」というのはいいですよね。
課題と今後の改善点
――運用中に見えた課題についても教えていただけますか?
1番目の課題は、自動運転中に頻繁に自動停止したことです。 最初は原因が分からず再起動などを繰り返していましたが、後ろのパソコン部分に熱が溜まることで止まってしまうということを初めて知りました。これは改善できないかなと思います。
次に、バケットの爪が脱落しやすい点です。 自動運転中、土砂が入っていく時に少しズレてしまったりして、爪が1個取れてしまうことがありました。1個取れるとどんどん斜めに減っていってしまう。見ていて「あ、違うな、ズレてるな」というのは分かるんですが、溶接で補強するなど何か案があればいいなと思います。
あとは旋回角度ですね。今回は90度程度でしたが、もっと角度が欲しい。左で掬って右に落とす180度の動作や、後ろを振り向く動作ができるといいですね。今はセンサーが前面にしかついていないので。
――ありがとうございます。旋回については構造的な改善を含め、すぐに対応できるよう準備中です。
災害復旧におけるポテンシャル
――遠隔施工や自動化施工について、災害復旧の観点からのお話もありました。
災害復旧と一言で言っても、短期間で終わるものと長期にわたるものがあります。1週間以内で終わるような災害復旧の場合、重機を持っていくのは当然ですが、それ以外の遠隔操作環境を持っていく時間がすごくもったいない。
その点、ARAVさんのシステムはiPadとPlayStationのコントローラーがあれば操作ができる。これは最適です。 数字で言うと「72時間以内の作業開始体制」にすごく寄与するんじゃないかと思います。簡単に揃うし、安いし、軽い。これはすごく画期的なことです。
――現地に行かずにオフィスから操作するという点ではいかがでしょう?
オフィスからモニター操作で仕事ができるというのは、体に負担がなく非常に魅力的です。 人的資源の観点で行くと、うちは全社員が車両系建設機械の資格を持っているんですが、その場にいる人間、例えば事務員さんや社長であっても動かせる体制を整えておくのはすごくいいことです。
今後は、体調が悪い人や障害を持っている人でも、会社や自宅から操作ができる時代が来ると思います。そういう方々を受け入れていけるような企業でありたいですね。
総括:現場実証を終えて
――最後に、今回の取り組みの反響はいかがでしたか?
1ヶ月間で自動化によって人を減らして仕事ができたことは、すごく効果がありました。 それをいろんな人に知ってもらおうと見学会を行ったのですが、1現場で10回もやったんですよ。月1回なら分かりますが、1ヶ月に10回もやる現場は聞いたことがない(笑)。
来場者数でいうと63名、19団体もの方が来られました。現場実証という1つのカテゴリーとして、僕は結構成功したんじゃないかと思っています。 現場での作業はこれで終了しますが、これからいろんなところで人が話してくれて、どんどん広がっていくんじゃないかなと思っています。
以下からインタビュー動画フル版をご覧頂けます。